ののあおやまプロジェクト座談会

ののあおやま
プロジェクト座談会

CROSS TALK

都心に森をつくる。
「ののあおやま」
プロジェクト

都心の港区北青山に、誕生した森が「ののあおやま」。東京建物グループだからこそなし得たこのプロジェクトの意義とは何でしょうか。開業・運営に携わったメンバーが、振り返りました。

ののあおやまプロジェクト座談会

#東京建物
#東京建物アメニティサポート
#プライムプレイス

「ののあおやま」プロジェクトとは

港区北青山の再開発プロジェクトの一環として誕生した約3,500㎡の大規模な緑地空間。次の100年を見据えた、都内有数の自然回帰の街づくりです。

「ののあおやま」プロジェクトとは

A PROJECT TO CREATE
A FOREST IN THE CITY

A project to create a forest in the city

TALK MEMBER

中村 真悠子

MAYUKO NAKAMURA

中村 真悠子

東京建物株式会社 
都市開発事業部

2010年入社。「賃貸住宅の開発・運営、マンションの建て替え、再開発事業の新規取得などを担当後、2018年よりオフィスビル事業を含む複合的な開発事業に携わっています。趣味は旅行で、同期の仲間とのタイ旅行は良い想い出です。」

向井 義昭

YOSHIAKI MUKAI

向井 義昭

株式会社東京建物アメニティサポート 
賃貸事業部

2016年7月中途入社。「賃貸事業部に所属し、21件の賃貸住宅の管理とマネジメントに携わっています。子供が乗り物好きなので、一緒に電車を見に行っています。あのドクターイエローとも写真を撮りました」

山畔 泉

IZUMI YAMAKURO

山畔 泉

株式会社プライムプレイス
第一マネジメントセンター

2020年入社。「非常駐型の商業施設の物件を担当し、その運営管理に携わっています。学生時代から旅行が好きです。最近では金沢に行って、花嫁列車に乗りました」

遠い未来を見つめながら

中村 真悠子

中村

「ののあおやま」の大きな特徴は、港区の北青山という都心に驚くほど豊かな森をつくりあげたということですね。しかも地域の皆さんに愛されています。

向井 義昭

向井

その通りだと思います。私は子供とよく公園へ行くのですが、「ののあおやま」は民間事業者がステークフォルダーと協働し創出した森だと思うと、すごいの一言に尽きます。建物と森が一体となってなじんでいるのが素晴らしいです。

山畔 泉

山畔

そんな森の中に日本初出店の店舗など、トレンド感の高いショップがたくさん出店されている点も見逃せません。私の所属するプライムプレイスでは、これら店舗の運営管理、新規開業に際してのフォローアップなどを担当しています。やはり新しい店舗の開業に立ち会えるのは感動的で、大きな達成感が得られます。

中村 真悠子

中村

従来の開発ではまず建物を計画・デザインし、その次に外構を計画に着手するという流れが一般的でした。しかし「ののあおやま」では最初に森があり、森に合わせた建物をつくる、というコンセプトで進めました。森を中心にした街づくり、建物づくりが大きなポイントと思っています。

向井 義昭

向井

計画段階に際しては様々な分野の方にご協力をいただいたそうですね。

中村 真悠子

中村

開発段階にはランドスケープデザイナーのお力を借り、樹種を選定する際には東京農大の教授にもアドバイザリーとしてご協力をいただくなど、専門家の皆さんにもしっかりアドバイスをいただきました。特徴的なのは、森を育て続けるために協働巡回という仕組みを取り入れたことです。具体的には年に4回、事業者側と管理者側、地元の皆さんで、森をどう育てていくか、どんな課題があるのかということを定期的に話し合う場を設けています。

山畔 泉

山畔

不動産は50年、100年と残っていくものですが、森にはそうした期間の限定すらないわけですから、管理については不動産よりさらに長期的なスパンで考えているということですね。

地域との共生を忘れない

向井 義昭

向井

建物には森と調和するような細やかな配慮がされていますね。

中村 真悠子

中村

ええ。特に低層部では森と調和するような素材を意識して選んでいます。例えば商業施設と森の間にあるテラスの空間には一つひとつ土を焼いたレンガタイルを使用しており、その色むらがとても自然です。階段には、石の質感がわかるテラゾータイルという素材を使っています。他にもグルーバーや屋根緑化など、施設全体で自然の豊かさが感じられる物件にしています。

山畔 泉

山畔

私が「ののあおやま」を訪れると、テラス席でコーヒーを飲んでいるサラリーマンを見かけました。すると、近くのピアノショップで店員さんがピアノを弾き始めたのです。生の演奏を聴きながら森の自然を眺め、風を感じながらコーヒーを味わい、束の間の休息を取っている姿を見て、ののあおやまらしい、とても素晴らしい空間だと感動しました。

向井 義昭

向井

そうした店舗の出店についてはプライムプレイスさんが携わられたとのことですが、どんなご苦労がありましたか。

山畔 泉

山畔

「ののあおやま」の商業店舗は、2020年の11月頃のオープンを想定して開業準備を進めていたところ、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う緊急事態宣言の発出が為される、という想定外の事態が起きてしまいました。一般的には店舗の営業に関する説明会は全店舗集めて一斉に実施するのですが、今回は店舗を個別にお呼びして説明させていただいたり、販促についてもお客さまに足を運んでくださいとは大々的に言えない中でどうしたらいいかということに頭を悩ませました。

向井 義昭

向井

非常に厳しい状況での準備でしたね。

山畔 泉

山畔

ええ。とにかく場所は知っていただきたいと表参道駅に案内は出しました。緊急事態宣言の解除後にようやくメディアへの告知にも力を入れられるようになり、現在ではずいぶんとにぎわいも創出されています。

中村 真悠子

中村

向井さんは竣工後のエリアマネジメントに携わっていらっしゃいますね。森の管理という点では、やはり通常の建物とは違うご苦労があるのでは。

向井 義昭

向井

おっしゃる通りです。植物は生き物ですから、皆さんに自然を感じていただきたいとは思うものの、足を踏み入れられたら傷んでしまうわけです。そのあたりは一般的な植栽管理とは違う難しさを感じています。先ほど中村さんがおっしゃった協働巡回という仕組を活用し、課題を見つけて検討を続けています。

山畔 泉

山畔

豊かな森が誕生したことは、地域の皆さんにとっても非常にポジティブなことだと思うのですが、一方で落葉が発生するといった問題もあるのでしょうか。

向井 義昭

向井

そうなのです。実際、風の強い日には建物の敷地の外にだいぶ葉が落ち、近隣にご迷惑をおかけしたことがありました。これについては誠実に対応させていただいています。いずれにせよ地域の皆さんと一緒に森を育てていきたいと考えており、自分の思いがこうした形になるということに大きなやりがいを感じています。

山畔 泉

山畔

地域社会にとってウェルカムであっても、管理面でご迷惑をおかけしないよう、継続的にコミュニケーションを取ることが共生につながるのでしょうね。

中村 真悠子

中村

「ののあおやま」ではイベントも盛んに開催されていますね。

向井 義昭

向井

印象深かったのは、オリンピック・パラリンピックの期間中に開催された、森の中に作品を転在させていくというアートのイベントでした。作品を木の上に載せるなどの展示があったので、事故が起きないように万全の対策を採りました。無事イベントは終了し、たくさんの方にお楽しみいただけました。

総合力を発揮する

山畔 泉

山畔

私は入社1年目からこの「ののあおやま」を担当させていただいています。改めて非常に東京建物グループらしいプロジェクトだと感じており、大きなやりがいをもって取り組んでいます。

中村 真悠子

中村

おっしゃる通り、グループの総合力が発揮されているのは間違いありません。そもそも当社グループがこのプロジェクトの事業者に選定された理由自体、当社グループのこれまでの歩み、実績をご評価いただいたからだと思っています。当社グループが都心に森をつくったのは「ののあおやま」が初めてではなく、ずっと以前に大手町の開発で都心に森をつくりました。その点が非常に高く評価されたと思います。

向井 義昭

向井

大手町の森はとてもいい雰囲気ですよね。ビルに入居されている方はもちろんのこと、それ以外の方も、ちょっと気分転換したいときに立ち寄っていらっしゃるようです。一見、無縁に思える場所に森をつくることは、我々にとって今回が二度目です。

山畔 泉

山畔

私自身このプロジェクトに携わったおかげで、課題解決力や柔軟性が身についたと感じています。

向井 義昭

向井

開業も運営も、想定外の課題が多かったですから、非常に難易度の高い仕事でしたね。

山畔 泉

山畔

ええ。想像していなかった課題に直面しても、自分たちで考えて解決していくしかありません。もちろん様々な方々に相談させていただき、力をお借りました。その結果、課題解決できたときは大きな達成感がありました。

中村 真悠子

中村

難しい課題であるほど、やりがいを感じるということですね。「ののあおやま」は森だけでなく、人も育っていくプロジェクトと言えるかもしれません。

地域との共生を忘れない

※この座談会は2021年12月に行われました。
※記事内容および社員の所属は取材当時のもの、在籍時の部署名称となります。